せっかくの優秀な製品も、販売代理店にそのポリシーとサービスが受け継がれなければ、ユーザーや消費者にとって「ちょっと残念な製品」ということがあります。

1995年からわが家で愛用している米国シカゴ生まれの浄水器「ハーレーⅡ」もそんな残念な製品のひとつです。

ハーレーⅡは本来、フィルター部分(内部の濾過システム部分一式)の交換が何度でもできて、長く使うことができる浄水器です。とても経済的です。しかも頑丈で美しい外装のステンレスのハウジングと上部のノブは、交換せずにそのまま繰り返し使うことができます。資源やエネルギーの無駄を抑える、合理的でエコフレンドリーな素晴らしい製品です。

1995年当時、ハーレーⅡ浄水器の販売価格は10万円くらいだったと記憶しています。たいへん高価でした。しかし、定期的に濾過システム部分だけを交換することで継続的に使える合理性、シンプルな構造でメンテナンスが楽なこと、電源不要で緊急時の浄水器として水の確保に使えること、長く使えるので結果的に経済的であることなどの理由から思い切って購入しました。20年ほど使っていますが、その性能とシンプルな使い勝手の良さに満足しています。

濾過システム部分の交換は5年を目安に、というのがハーレーⅡ浄水器の推奨交換時期です。今まで長いこと交換を先延ばししてきたので、さすがにそろそろ交換しないとなあと思い、購入時に記載してあった販売代理店へ連絡。ところが、電話は繋がらず。当時の販売代理店はなくなっていました。輸入品を取り扱う販売代理店にはよくある話ではありますが。

困ってしまいました。ともかく輸入販売元があるかもしれないので探してみようと。そうしたら、ありました。わが家が加入する生活クラブ生協で取り扱いがあったのです。ちょうど、生活クラブ生協の店舗「デポー」に販売代理店の方が来られるというので、ハーレーⅡの濾過システム部分の交換のことを聞いてみました。費用、交換期間のことなどあれこれと。

ところが、ちょっとびっくりする答えが返ってきました。

「濾過システム部分のみの交換はしていない」そうなのです。

嘘でしょ?どういう意味?

お聞きすると交換はしているが、内部の濾過システムを交換するのではなくて「そっくり新しいハーレーⅡに交換する」そうなのです。

えっ、古いのはどうするの?(それって濾過システムの交換って言わないんじゃないの?)

「分解してリサイクルできる素材はリサイクルします。ステンレスは再資源化します。」とのこと。

えっ、それって廃棄だよね?

え~、そんなのおかしいよ。

ハーレーⅡ浄水器の”環境に配慮した製品づくり”の考え方に共感して購入したのに、それはないよね。まさか、ハーレーⅡを作っている米国ハーレー・シカゴ社の方針、変わっちゃったのかも。そう思ってウェブサイトをチェックしたところ、ちゃんと交換してるじゃないですか。

外装のステンレス・ハウジングを繰り返し使うという環境に配慮した交換システムをやめてしまったのは日本国内だけでした。

再度、日本のハーレーⅡを取り扱う販売代理店さんへ連絡してみました。時間が多少かかっても従来通りの濾過システム部分のみを交換する選択肢をつくっていただけないものかとお願いしました。僕のようにハーレーⅡを選ぶ理由が環境に配慮した製品だからという人もいる。それにアメリカでは従来通りの交換をしているじゃありませんか。と言ったところで、日本の販売代理店の方針は変わらず。改善する気はないようでした。日本では交換=新しい製品に交換、古いものは廃棄、一部リサイクル。ちなみに日本での交換費用は¥63,000、ハーレーⅡの販売価格は1台¥128,000です。

いやぁ、困ったなあ。

そして結局、米国シカゴのハーレー・シカゴ社へ、メールによるコンタクトをしました。

こんにちは。
私は日本に住んでいる者です。1995年からハーレーⅡを愛用しています。

HurleyⅡの日本代理店へのrefurbishment(濾過システム部分の交換)をお願いしたのですができませんでした。
日本では550ドル(60,500円)で新しいハーレーⅡに交換することしかできません。
「私が使っていた古いものはどうするのか?」と代理店へ尋ねると「廃棄処分します。外側のステンレススチールはリサイクルしますが・・・。」との答えでした。

ハーレーⅡの素晴らしい点は、定期的にメンテナンスすることで繰り返し使用することができることです。私はそれが環境に優しく、経済的であるので購入しました。日本の代理店の対応には失望しました。
私が使っているハーレーⅡをそちらへ送るとしたら、refurbishment(濾過システム部分の交換) していただけるのでしょうか?
可能でしたら、送り先と費用、送料を教えてください。
私の使っているハーレーⅡは毎日とても良い仕事をしてくれています。
どうぞよろしくお願いします。

以上のようなメール内容です。

メールを出して約1週間。「送ってくれたら、中身の濾過システムを交換して戻してあげるよ!」との嬉しい返事をいただきました。

シカゴの本社工場で交換を引き受けてくれました。

濾過システム部分の交換費用は86ドル(9,460円)です。

シカゴから東京までの送料83ドル(9,130円)をプラスして、交換に支払う費用は合計169ドル(18,590円)。郵便局でマネーオーダー(別途手数料2,000円がかかります)を作り、愛用のハーレーⅡ浄水器とともにEMS国際スピード郵便で送りました。東京からシカゴまでの送料は8,000円を合わせて、シカゴへ送って交換してもらった費用総額は28,590円でした。

僕らの希望通り、外装のステンレス・ハウジングと上部のノブは廃棄せずに繰り返し使うことになりました。結果的に日本国内の販売代理店に交換をお願いするよりも経済的で合理的で環境への負荷を抑える方法を選択できました。米国ハーレー社とのやり取りには多少時間がかかりましたが、気持ちよくスムーズに進みました。

ハーレーⅡ浄水器をシカゴへ送って、交換済みのものが手元に届くまでの期間はEMS便を利用して2週間弱でした。便利な時代です。

★ハーレー・シカゴ社 → Hurley Chicago Co., inc

ハーレーⅡ浄水器の濾過システム。シカゴ本社で交換
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