政府がやらないなら市民の力で。
2011年、東日本大震災の福島原発事故により放射性物質が広く東日本に降りそそぎました。
自分の住んでいる地域はいったいどのくらい放射性物質が降ったのでしょうか?
原発事故から7年、放射能はどのくらい減ったのでしょうか?
この先、どうなるのでしょうか?
原発事故が起きてしまった以上、放射能の汚染のことをいつも気にして生活しています。これから先、できるだけ安全に、そして安心して暮らしていきたいと考えるからです。
1986年のチェルノブイリ原発事故では国家主導で詳細な放射能の土壌汚染地図が作られ、人々の生活の指針や避難や補償の基準となりました。ところが日本ではそうした地図を国は作りませんでした。本来、国か東京電力が作るべきもの、やるべきことだと今でも僕は思います。
国(日本政府)がやらなければ市民の力で!
立ち上がったのは市民たちです。
事故後、全国30の市民放射能測定所ネットワーク団体「みんなのデータサイト」が中心となり、市民が持ち込んだ食べ物を測定。データベースを作り、情報公開を始めました。そして2014年からは放射能汚染の実態を調べるために、東日本17都県の「土壌」に含まれた放射能を測定する「東日本土壌ベクレル測定プロジェクト」をスタートしました。
プロジェクトの調査に3年。関わった市民、のべ4,000人。
自分たちの手で土壌を採取し、全国30以上の市民放射能測定所が測定を担当。17都県、3,400地点を超える地点の詳細な「放射能汚染地図」を完成させました。その汚染地図は「みんなのデータ」のウェブサイトで公開中です。誰でも見ることができます。
と、前置きが長くなりました。本題です。
実はこの放射能汚染地図が本になりました。食べ物・環境・放射能の基礎知識などの情報記事がたっぷり追加された『図説17都県・放射能測定マップ+読み解き集』です。
本の製作&出版費用はクラウドファンディングで調達。A4判、フルカラー200ページでなんと2,500円(税込)。当初、資金調達の目標額を印刷部数2,000部、250万円でスタート。最終的には目標額の2.5倍の623万円、支援者数1,288人の支援がありました。東京新聞さんの紹介記事で大きな反響となり、問い合わせや支援者が増えたそうです。
わが家もクラウドファンディング支援者の一員です。本を受け取って、思っていた以上の出来ばえ(内容の充実度、豪華A4オールカラー200ページ、ずっしり重い存在感)にビックリしました。「東日本土壌ベクレル測定プロジェクト」の調査活動にも参加していたので喜びも大きいです。
多くの知り合いがこのプロジェクトと書籍化に関わっています。自分も何かサポートできることはないかと考えていたところ、「この本、本屋さんでも買えるといいね」という声がありました。それなら何かお役に立てるかもしれない。
そこで古くからおつき合いのある世界的パズル専門出版社ニコリのMARIさんと編集長のANPKさんに相談。見本誌を見ていただきました。自分の住んでいる地域の放射能汚染などもチェックしながらしばらくページをパラパラと。本の情報量の多さ、オールカラー200ページという豪華ボリューム、値ごろ感抜群の販売価格、丁寧なつくり、わかりやすいデザインなどを見て、「なかなか良い本ですね」と出版プロのお墨付きをいただきました。ニコリの営業担当SBSWさんに書籍の取次会社「地方・小出版流通センター」を紹介していただくことになりました。
後日、ニコリのSBSWさんに同行していただき、みんなのデータサイトのNKMRさんと一緒に地方・小出版流通センターを訪ねました。地方・小出版流通センターの担当OKYSさんに書籍化の背景やら、経過やらをデータサイトのNKMRさんがお話ししたところ、お忙しいのにもかかわらず、『図説17都県・放射能測定マップ+読み解き集』の見本誌を興味深くじっくり目を通していただきました。書店販売のアドバイスをいただき、本の取り次ぎ(書店さんへの流通)の契約を進めることになりました。そして最後に「なかなか良い本ですね」と。
みんなのデータサイトでは全国の本屋さんで本が購入できるように着々と準備を進めているようです。『図説17都県・放射能測定マップ+読み解き集』が本屋さんに並ぶ日が楽しみですね。
えっ、もう並んでるみたい。
いろいろ相談にのっていただきましたニコリさん、地方・小出版流通センターさん、どうもありがとうございました。
『図説17都県・放射能測定マップ+読み解き集』にご興味のある方、一家に1冊の常備本としてぜひぜひ。